肌について学ぼう①~皮膚の構造~

2022年5月12日

皮膚とは私たちが「肌」とよんでいるもので、いろいろな臓器の中でも唯一直接外界と接している器官です。私たちの全身を覆っている皮膚は、人体最大の臓器とも呼ばれ水分を保持したり、外からの刺激や細菌から体を守ってくれています。

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皮膚の構造について詳しくおさらいしていきましょう

皮膚の断面図

皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3つの層にわかれています。

皮膚表面

私たちの目に入る皮膚表面。皮溝の幅が狭く、浅すぎずない適度な深さの皮膚が目で見た時にキメの細かい肌と言われる肌です。一般的に年齢が若く、男性よりも女性のほうがキメが細かいといわれています。

 

毛孔

皮膚が交差しているところにある、毛の出口。

皮溝

皮膚の表面にあり網目状になっているところ。

皮丘

ひし形や四角形に高くなっているところ。

汗孔

皮丘の中央にある穴、汗の出口。

 

表皮

表皮とは目に見える一番外側の部分で、保護壁として外界の刺激から体を守っています。

下から基底層・有棘層・顆粒層・角質層と4層にわかれていて、その厚さは玉ねぎの薄皮一枚ほどのわずか0.2㎜程度です。

基底層

表皮の一番下にある層。基底細胞はきれいに1列に並んでおり、常に新しい細胞を生み出しています。生まれた細胞は有棘層へとなります。紫外線から体を守るメラノサイトもここにあり、紫外線を受けることでメラニンを合成します。

有棘層

表皮の中で最も厚い層となっていて、リンパが流れており、表皮の下にある真皮から酸素や栄養を受け取っています。角質層や顆粒層を構成するタンパク質を合成しています。知覚神経はここにあります。有棘層にはランゲルハンス細胞があり、体内に入ってきた物質を異物かどうかの判別をしています。

顆粒層

2~3のへん平な形をしていて、中にはケアトヒアリン顆粒とよばれる粒があり、紫外線を跳ね返す役割をしています。

角質層

表皮の一番外側にある層で、細胞核はなく死んだ細胞が積み重なっています。表面は汗と皮脂が混ざり合い皮脂膜を形成しており、細胞の隙間にはアミノ酸などのNMF(天然保湿因子)細胞間脂質があり水分保持機能の役割をしています。

基底層で細胞がうまれ有棘層→顆粒層へと変化するまで14日間、角質層へと変化し垢となって剥がれ落ちるまで14日間の肌のサイクルをターンオーバーといい、正常な肌は28日周期でターンオーバーを繰り返しています。

皮脂膜・・・皮脂腺で作られた脂と、汗腺で作られた汗が混ざり合い「天然のクリーム」を形成しています。

NMF(天然保湿因子)・・・Natural Misturizing Factorの略。アミノ酸の他はPCAや乳酸・糖類で構成され吸湿性・保湿性があり、角質層の水分保持の役割があります。

細胞間脂質・・・脂質の層と水分子の層がサンドイッチ状に規則正しく並んでいてこれを「ラメラ構造」と呼びます。細胞間脂質の50%はセラミドでできており、その他コレステロール・脂肪酸でできています。

メラノサイト(色素形成細胞)・・・基底層の細胞の間に位置し、樹枝状突起と呼ばれる細長い突起を伸ばして、周囲の細胞にメラニンを受け渡しています。メラノサイトの中にはメラノソームというラグビーボールのような形の袋があり、その中でメラニンは作られています。

チロシナーゼ・・・紫外線などの刺激を受けとるとメラノサイト内で酵素チロシナーゼが活性化します。そのチロシナーゼがチロシン(アミノ酸)をドーパ→ドーパキノンへと酸化させ、メラニンとなります。

ランゲルハンス細胞・・・突起状の形をしていて、この突起が異物を感知すると、他の免疫細胞に異物を排除するよう働きかけます。また、紫外線や乾燥などに対して肌が過剰に反応し過ぎないよう抑える役割も担っています。

真皮

表皮の下にあり肌のハリと弾力をつかさどっていて厚さは2mmほどです。

真皮層の約70%はコラーゲン繊維が占めていて、このコラーゲン繊維を結合しているのがエラスチン繊維です。さらにヒアルロン酸などの基質がその間を埋めています。コラーゲン繊維・エラスチン繊維・基質等の、真皮層を構成している成分を作り出しているのが線維芽細胞と呼ばれる細胞です。

 

コラーゲン繊維

丈夫なたんぱく質からできており網目状に存在し、皮膚にハリを与えて外の衝撃から守っています。

エラスチン繊維

やわらかいたんぱく質からできておりゴムのような伸縮性があり、コラーゲン繊維を束ねています。肌に弾力を与えています。

基質

繊維の間をゼりー状にうめておりヒアルロン酸の他、ムコ多糖類やたんぱく質、ビタミンからできています。肌のクッションの役割をしています。

線維芽細胞

真皮層のあちこちに存在し、コラーゲン繊維・エラスチン繊維・基質を生み出しています。さらに自らも細胞分裂して新しい線維芽細胞を生んでいます。古くなった繊維や基質の分解も行っており、この機能は血液からの栄養補給が重要です。

 

基底膜・・・表皮と真皮のつなぎ目にあり0.1ミクロン(1mmの1万分の1)の薄い膜です。表皮と真皮の間の栄養物や老廃物の調整をする役割があり、若く弾力のある肌はしっかりとした曲線を描き弾力があります。老化すると曲線がなくなり肌の弾力がなくなっていきます。

乳頭層・・・毛細血管やリンパ管、神経が通っており表皮の基底細胞に栄養を与えています。

網状層・・・真皮上層にある乳頭を除いた真皮の大部分を占める層で、この大部分が網目状に並んだコラーゲン繊維でできていることから網状層とよばれています。

皮下組織

皮下組織は真皮層の下にある組織で、脂肪を多く含んでいることから皮下脂肪組織ともいわれています。